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材料の選び方
型枠は、ベニヤと桟木で組む。同じ壁でも、新品のベニヤを使うか、何度も使った古いベニヤを使うかで、仕上がりもお金も変わってくる。
前回のnoteでは、ベニヤを使い回すことが型枠工事の利益の芯だと書いた。今回は、その一枚一枚を、まみ社長が現場ごとにどう選び分けているのかを聞いた。聞き手はあみ。
この回で分かること
- 01ベニヤの使い道は3つしかない。打ちっぱなし化粧は新品、補修はコートの残った古いベニヤ、隠れるところはフル。
- 02桟木の太さは、会社を始めた社長が一度決めたら、セパの金物や鋼管まで全部それに揃う。馬見塚建設は25×60。
- 03面木・目地棒のプラと木は、見た目だけで選ばない。コーキングを打つか、板金で隠れるか、捨てるときにお金がかかるかまで考える。
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社長、第3回は「材料の選び方」です。材料を選ぶときに一番迷ったのは、どこの現場でしたか。
まず材料で迷うっていうのはなくて、例えばここの壁の外はです、中は完全に隠れちゃいますよっていう場合であれば、もう単純に外は新品のベニヤで、中は古ベニヤを使いますよねというところなんですよ。
で、厄介なのは微妙に中途半端なやつね。とかっていう時の。でこの辺はちょっときれいめなベニヤを使って、まあ、例えばコート面が剥げてないとか、まあ、の穴をちゃんと埋めてから使ってもらえればいいよとかっていうこと。
のでそういう判断の仕方をしていくのかな。
その「打ちっぱなし補修」というのは、どんな壁ですか。
まず打ちっぱなし補修っていうのはどういう見た目になるかっていうところから説明すると、コンクリートの面がデコボコしてない状態っていうものをイメージしてくれればいい。
で、その表面がデコボコしてないけどザラザラみたいな状態になるんだけど、そこに対して左官屋さんが薄く左官で補修した状態が打ちっぱなし補修。
最近の現場だと、その打ちっぱなし補修の壁は、建物のどこにありましたか。
まあ、大概の場面が打ちっぱなし補修っていうのが多いのが事実かな。
なので、さっき言ったでいいところ、打ちっぱなし補修のところ、打ちっぱなし化粧のところの3種類しかなくて、で一番多いのがその打ちっぱなし補修なので、基本的にどの現場でも存在していることがほとんどである。
で例えば基礎とかであると、基礎は土に埋まってしまうのでフルベニヤでいいよねっていう考え方になります。ただ例えばエレベーターのピットとか、消火水槽のピットとかは、その中に土を入れない状態になるので、そこは打ちっぱなし補修みたいな感じに考えます。
倉庫で古いベニヤを手に取ったとき、「これは補修に使える」「これはもうフルにしか使えない」と、どこを見て分けていますか。
なので見分け方はやっぱり、ベニヤの表面のがきれいに残っているかどうか。型枠解体した時にベリッと剥がれてしまったものとかは跳ねます。でもうベリベリ剥がれて、要するにコート面がちょっと剥がれてきているようなものはフルとして使う。
でコートがしっかり残っているものは、セパの穴を埋めるというものがあるので、その詰栓をセパの穴に埋めて、まだツルツルの、ツルツルというかフラットな状態に戻して使います。

平らに戻したベニヤは、補修に使うんですか。それとも打ちっぱなし化粧にも使えるんですか。
平らな状態に戻したベニヤは打ちっぱなし補修に使います。もちろん普通フルベニヤのところにも使えますけど、その詰栓入れてる分、無駄なお金になってしまいますよね。
であくまでも、打ちっぱなし化粧っていうものには新品ベニヤを使うのが鉄則の業界です。

では、打ちっぱなし化粧で一度使った新品のベニヤは、ばらしたあと、次の現場では何に回りますか。
そうね、単純に考えれば、打ちっぱなし化粧で1回使ったらバラして、も全部取っ払ってして、打ちっぱなし補修のところに詰栓を詰めて使います。
でそこをもう2、3回やったら、また多分表面がボロボロになってきているので、完全なフルベニヤとして基礎で使います。もしくは完全に隠れてしまうところに使うという感じですね。
完全に隠れてしまうっていうのは、仕上げが来るので全くもって見た目が関係ないよっていうところに使うっていう意味合いです。

桟木のほうはどうですか。桟木にも、ベニヤのような使い分けはありますか。
桟木はやっぱりそのままの長さで使えないので、その都度切っていって、だんだん短くなっていきます。で最終的には割れてくるので、割れたらゴミっていう感じですね。
桟木には、太さや長さの違う種類がありますか。あるなら、どうやって選び分けていますか。
太さはいつも固定のものを使っている。25×60っていうものを弊社では使っています。他社では25×50っていうものを使っている会社もありますが、弊社では60を使っているということです。
で当然長さは、仕入れた時には2メーター、3メーター、3.6メーター、4メーターといろいろ種類がありますが、当然高さに合わせて桟木は切らなきゃいけないので、長さの違う種類があるかどうかっていう問いにはご回答がちょっと難しいところです。
25×50を使う会社もある中で、25×60を使っている。その10ミリの違いを選んでいるのは、なぜですか。
うーん、まあ先代から使っているっていうのもありますが、やっぱり太い方が強い、はらみにくい、曲がりにくい、割れにくいっていうのがありますね。なので、最初その会社を始めた社長さんがどっちで行くかっていうのが決め手になります。
で60だった場合は60に合わせたセパの金物があって、50には50に合わせたセパの金物があるので、どっちかしか使えないんです。当然締め方に使うも50のサイズと60のサイズがあるので、桟木を60にした場合、鋼管も60、金物類も60に合うものを使います。50の場合もまたしかりですね。
もし今から50に切り替えるとしたら、何が起きますか。
多分全ての材料を買い替えなきゃいけなくなるのは置いといて、セパのをもしかしたら少し細かく取るようになるかもしれない。
基本は600グリッドだけど、前に喋っていた壁が3.6メーターとかの壁があったとすると、高さね、高さが3.6メーターあったりすると、下からのピッチをもう少し細かくするかもしれない。例えば200、400、400、600、600って言ってたとすると、200、400、400、400、600とかになると、まあセパの本数が1本増える場面が出てくると思います。
ベニヤに戻らせてください。新品のベニヤを仕入れるとき、種類や厚みは選んでいますか。
うん、新品のベニヤを仕入れるときは、今はいろいろ種類があるので、なおかつJISマークがあるやつないやつともあるので、その辺も考えながらですね。
とりあえず一回、しないっていうときには、なるべく安いベニヤ、要は転用回数があまり持たないベニヤを使います。いわゆるB版とかピナコとかそういうベニヤを使います。で上に転用していくってなると、今度はAクラス、まあテックスだね、その辺のコートがしっかりしてるやつを使っていきます。
あとはっていう種類のやつもあるね。コートが緑色のやつ。これは針葉樹を使っているので割と安価なので、これも1回使いのところ、転用しないところに使う型枠屋さんも多数存在しているが、馬見塚建設ではこのドルフィンは使うのをやめました。
水分を多く含んで、何というかブヨブヨして反ってくるので精度が落ちることがあります。でなおかつ転用回数も、転用というか一回小バラシしてもう一回使うっていう場面にも非常に弱くて、いまいち使い勝手が見出せなかった。
やめようと決めたのは、どんな現場で、何があったときでしたか。
まあ普通にマンションのスラブとかピットかな。ピットで使って、ピットスラブね。で水分を含んでなんかブヨブヨするっていうのがあったのと、を切った時そのに水分が入るとコートがめくれてくるみたいな、いまいちな、なんだろう、作りなんですよね。のでうん、もう不良品みたいに見えてしまうのでやめた。
まあベニヤの話はこれぐらいにして、ついでにこの仕上げのことを話しているので、・のことも追加しとこうかな。
まず単純に考えて、シンプルに考えて、打ちっぱなし化粧のところにはプラスチックの面木・目地棒を使います。なぜならプラスチックは表面がツルツルなので、打ちっぱなし化粧と相性がいいわけです。もしそこに木製の面木・目地棒を使うと、木なので表面がザラザラしているのがそのままコンクリートの方にも反映されますので、見た目の光沢もなくザラザラしている状態になるので見た目がよくありません。ので打ちっぱなし化粧には必ずプラですね。
で打ち放し補修の、補修があるところは基本的にはプラなんですけども、その面木・目地棒の使用目的にもよる。例えば目地棒のところがを打つっていうんであれば、逆にザラザラしている表面の木の方が剥がれにくくていいということもあります。同じく面木を入れるんだけど、水切りの金物で、板金で、で隠れてしまうんであれば全然木でいい。
で木を使っているメリットは、木の方がちょっと高いんですけど、同じくバイオマス燃料に持っていけるので処理が楽で、プラスチックは産業廃棄物になるんで、やっぱりお金を払って捨てなければならない。ただ購入価格はプラスチック製品の方が若干安い。

前回のnoteに「たまたま倉庫に新品しかなかったら、新品を使うしかない」とありました。補修やフルで足りる現場なのに、倉庫には新品しかない。そういうとき、社長は実際どうしていますか。
そのときは、その新品を使うしかありません。ないんだもん。しくしくしく。
最後に一つだけ。今日の材料の選び分けを、若い職長さんが自分で決めるようになったとき。一番間違えやすいのは、どこだと思いますか。
うん、転用する型枠材なのに一回使い用の安いベニヤを使ってしまったり、逆に一回しか使わないのに高級のテックスのベニヤとかを使ってしまったりっていうのはありますね。まあただ基本的に朝礼の時に毎日指示しているので、そんなことは基本的には起こらない。
それともう一つは、今さっき言った面木・目地棒の話で、プラじゃなきゃいけないところを木でやってしまうっていうのはあるみたいだね。まあ、もちろん気づいたら、コンクリートの前には一回外してプラに打ち替えなきゃいけないけども、まるっと無駄だよね。で一回打ってしまった面木・目地棒は大概折れてしまうので、そのままゴミになってしまうっていう、シクシクシクことです。
多少なり綺麗に残ってればそのままどっかで使うこともできる時もあるけども、まあとにかく手間も無駄、材料でも無駄なんで最悪ですね。まあ、ベニヤの件はもうしょうがないっていうところです。そういう時もあるっていう感覚でしかありません。
以上、まみ社長の頭の中から、材料の選び方をお届けしました。
取り出した判断表
社長の話を、場面ごとに並べ直した。
ベニヤの使い道
| 仕上げ | 使うベニヤ |
|---|---|
| 打ちっぱなし化粧 | 新品。業界の鉄則 |
| 打ちっぱなし補修(いちばん多い) | コートがしっかり残った古いベニヤ。セパの穴を詰栓で埋めて、平らに戻して使う |
| フル(基礎・仕上げで隠れるところ) | コートが剥げてきたベニヤ |
見分けるのは、ベニヤの表面のコートがきれいに残っているかどうか。
新品ベニヤの選び方
| 場面 | 選ぶもの |
|---|---|
| 転用しない(1回使い) | 転用回数があまり持たない、安いベニヤ(B版、ピナコなど) |
| 上の階へ転用していく | コートがしっかりしたAクラス(テックスなど) |
| ドルフィン(緑のコート・針葉樹) | 馬見塚建設ではやめた。水を含んで反る、切った小口からコートがめくれる、小バラシに弱い |
若い職長が間違えやすいのは、転用するのに1回使いのベニヤを選ぶこと。逆に、1回しか使わないのに高いベニヤを選ぶこと。
面木・目地棒
| 場所 | 材質 | 理由 |
|---|---|---|
| 打ちっぱなし化粧 | プラ(必ず) | ツルツルの面がそのままコンクリートに写る。木だとザラザラになる |
| 補修・コーキングを打つ目地 | 木 | ザラザラした木の面のほうが、コーキングが剥がれにくい |
| 補修・水切り板金で隠れる面木 | 木 | 見えないので木でいい。捨てるときはバイオマス燃料へ持っていける |
| 補修・それ以外 | 基本はプラ |
買う値段はプラのほうが少し安い。ただしプラは産業廃棄物なので、捨てるのにお金がかかる。
桟木
| 馬見塚建設 | |
|---|---|
| 太さ | 基本は25×60だけ。25×50は、どうしてもそれでないといけない特殊なときだけ |
| 60にする理由 | 太いほうが強い。はらみにくい、曲がりにくい、割れにくい |
| 揃えるもの | セパの金物も、締めに使う鋼管も、60に合うものを使う |
| 長さ | 仕入れは2m・3m・3.6m・4m。高さに合わせて切るので、だんだん短くなる。割れたら終わり |
桟木の太さは、会社を始めた社長が一度決めたら、ずっと続く。
ベニヤ1枚の一生
化粧から補修、補修からフルへ。1枚のベニヤは、使える場所を下げながら何度も働く。
新品で1回。化粧には新品を使うのが鉄則。
桟木を外して小バラシ。セパの穴を詰栓で埋めて、2〜3回。
表面がボロボロになったら、基礎や、仕上げで隠れるところへ。
もう使えなくなったら、バイオマス燃料の工場へ。
だから倉庫に何が残っているかで、次の現場の儲けが変わる。新品しかなければ、新品を使うしかない。
この回に出てきた言葉
本文中の下線の言葉も、押すと説明が出ます。
- 打ち放し化粧(打ちっぱなし)
- タイルや塗装で仕上げず、コンクリートの面をそのまま見せる仕上げ。型枠の割付やセパの跡が、そのままデザインになる。
- 打ちっぱなし補修
- デコボコはしていないが、少しザラザラしたコンクリートの面を、左官屋さんが薄く補修して仕上げる壁。いちばん多い仕上げ。
- セパ(セパレーター)
- 向かい合った型枠の間に渡して、壁の厚みを保つ金具。これが無いと、流し込んだコンクリートに押されて型枠が膨らむ。
- フルベニヤ
- 何回も使って古くなったベニヤ。基礎や、仕上げで隠れる壁なら、これで十分。
- コート(コート面)
- ベニヤの表面に塗ってある膜。これがきれいに残っているかどうかで、次にどこで使えるかが決まる。
- 詰栓(つめせん)
- ベニヤに開いたセパの穴を埋めるもの。穴を埋めて、ベニヤを平らな状態に戻す。
- 桟木(さんぎ)
- ベニヤの裏に打つ細い角材。25×50などの寸法がある。
- 小バラシ
- 組んである型枠をばらして、また使える材料に戻すこと。
- 鋼管(こうかん)
- 型枠を締めるときに使う鉄のパイプ。桟木の太さに合わせたサイズを使う。
- ピッチ
- セパとセパの間隔。「600グリッド」は600ミリ間隔のこと。
- 転用(てんよう)
- 同じ型枠の材料を、次の現場でもまた使うこと。ベニヤは多いときで10回以上使う。
- ドルフィン(ドルフィンコート)
- コートが緑色の、針葉樹でできたベニヤ。わりと安い。馬見塚建設では、反りやすく転用に弱いので使うのをやめた。
- サブロク
- 900×1800ミリのベニヤ。型枠のベニヤには、これと600×1800ミリのニロクがある。木造で使う尺(3尺×6尺は約910×1820ミリ)の端数を切った寸法になっている。
- 小口(こぐち)
- 板を切ったときの切り口。
- 面木(めんぎ)
- コンクリートの角に斜めの面をつけるための三角形の材料。角が尖っていると怪我をしやすいので、斜めにしてツルツルにする。
- 目地棒(めじぼう)
- コンクリートの面に目地(溝)をつくるため、型枠に打っておく細い棒。
- コーキング
- 目地などの隙間に詰めて、水が入らないようにするゴム状の材料。
- 水切り板金
- 雨水が壁を伝わないように取り付ける、金属の板。
あくまでも、打ちっぱなし化粧っていうものには新品ベニヤを使うのが鉄則の業界です。— まみ社長
職人の頭の中にしかない判断を、言葉と表にして残していく試みです。