
Lath Formwork
ラス型枠とは。外さない型枠という選択。
ラス型枠とは、金網(ラス)状の板を型枠として使い、コンクリートが固まった後もそのまま躯体に残す「埋設型枠」のことである。外すことを前提にした在来型枠とは発想が逆で、脱型・解体という工程そのものが存在しない。馬見塚建設が主力として採用している工法だ。
Principle
なぜ、外さなくていいのか。
型枠を外す理由は2つしかない。ひとつは材料を再利用するため。もうひとつは、コンクリートの表面を見せるためだ。逆に言えば、その2つが要らない場所では、型枠を外す作業は純粋な手間でしかない。
基礎、地中梁、擁壁、ピット。土に埋まってしまう部位や、仕上げ材で覆われる部位では、コンクリートの肌を見せる必要がない。それなら最初から「残す前提の型枠」を使えばいい——これがラス型枠の考え方である。
ラス板は金網状になっており、コンクリートが網目に食い込んで一体化する。硬化後は躯体の一部となり、構造上の問題は生じない。むしろ表面が粗面になることで、後から打つコンクリートとのなじみが良くなる。打継ぎ部にラス型枠が好んで使われるのはこのためだ。
Merits
ラス型枠の7つの利点。
工期、コスト、環境、安全。ラス型枠が効くのは一点ではなく、現場のあらゆる面に及ぶ。
脱型・解体が要らない
型枠工事の全工程のうち、解体は決して小さくない。それが丸ごと消える。工期にも人工にも直接効く。
材料が軽い
合板に比べて圧倒的に軽く、運搬も揚重も楽になる。体力に自信のない人や女性でも扱える。
産業廃棄物がほぼ出ない
解体がないので、使用済み合板の廃材が発生しない。処分費と環境負荷の両方が減る。
狭い場所に強い
脱型のために人が入る隙間を確保しなくていい。狭小地、逆打ち、既存躯体との取合いで有利になる。
充填状況が見える
網目からコンクリートの回り具合が目視できる。ジャンカ(充填不良)をその場で発見し、手当てできる。
打継ぎが一体化しやすい
表面が粗面になるため、後打ちコンクリートとの付着が良い。打継ぎ部の弱点を減らせる。
複雑な形状に追従する
曲面、段差、型押し。合板では手間のかかる形状も、比較的容易に成形できる。
Honest
万能ではない。使えない場所もある。
いいことばかり書く会社は信用できない。ラス型枠にも不得意な場所がある。
まず、コンクリートの肌を見せる打放し仕上げには使えない。ラス板は残るものなので、当然ながら美しいコンクリート面は現れない。意匠として見せる壁は在来型枠の領域だ。
次に、かぶり厚の管理。ラス型枠は埋設されるため、鉄筋との位置関係を最初に決め切る必要がある。建て込んだ後の微調整が効きにくい分、墨出しと建込みの精度がより厳しく問われる。
そして、材料の転用ができない。在来型枠は合板を何度も使い回せるが、ラス型枠は使い切りだ。部位によっては材料単価が上回ることもある。
だから馬見塚建設は、ラス型枠だけの会社にはならなかった。部位ごとに工法を選べること。それが本当の強みだと考えている。
Comparison
在来型枠との違い。
どちらが優れているかではなく、どこで使い分けるか。判断の軸を表にまとめた。
| 項目 | ラス型枠 | 在来型枠 |
|---|---|---|
| 脱型・解体 | 不要(そのまま残す) | 必要(人と時間がかかる) |
| 材料の重さ | 軽い | 重い(合板12mm+桟木) |
| 産業廃棄物 | ほとんど出ない | 使用済み合板が出る |
| 転用 | できない(使い切り) | できる(複数回使い回す) |
| 打放し仕上げ | 不可 | 可能(本領を発揮する) |
| 狭所・複雑形状 | 得意 | 手間がかかる |
| 充填の確認 | 網目から目視できる | 外から見えない |
| 主な採用部位 | 基礎・地中梁・擁壁・ピット・打継ぎ部 | 柱・梁・壁の一般部・打放し壁 |
Application
どこに使うか。
基礎・地中梁。最終的に土に埋まる部位で、脱型のために掘削を広げる必要がなくなる。山留めとの隙間が狭い現場ほど効果が大きい。
擁壁・ピット。片側からしか作業できない場所、人が入って解体できない場所。ラス型枠なら片面施工で完結する。
打継ぎ部。次のコンクリートと一体化させたい面に使う。目荒らしの手間を省きつつ、付着を確保できる。
狭小部・逆打ち部分。既存躯体に寄せて打つ、あるいは上から下へ施工していく場面で、脱型スペースが要らないという性質が決定的に効く。
型押し・段差のある箇所。形状に追従しやすいため、在来型枠では加工が煩雑になる部分を簡潔に納められる。
よくある質問
ラス型枠は外さなくても構造上問題ないのですか?
問題ありません。ラス型枠は外さないことを前提に設計された「埋設型枠」です。金網状のラス板の目にコンクリートが食い込んで一体化し、躯体の一部となります。むしろ表面が粗面になることで、後から打つコンクリートとの付着が良くなるという利点があります。
ラス型枠はどんな部位に使いますか?
基礎・地中梁、擁壁、ピット、打継ぎ部、狭小部や逆打ち部分、型押しや段差のある箇所などです。共通しているのは「コンクリートの肌を見せる必要がない」「脱型のための作業スペースが取りにくい」という条件です。
ラス型枠のデメリットは何ですか?
打放しコンクリート仕上げには使えません。また材料の転用ができないため使い切りになり、部位によっては材料単価が在来型枠を上回ることがあります。埋設されるため建込み後の微調整が効きにくく、墨出しと建込みの精度がより厳しく問われる点も押さえておく必要があります。
ラス型枠は未経験でも扱えますか?
扱えます。合板の型枠に比べて材料が軽く、加工も簡潔なため、体力に自信のない方や女性でも施工できます。馬見塚建設でも、未経験で入った職人が最初に覚える工法のひとつです。ただし精度管理の考え方は在来型枠と同じく厳密に求められます。
ラス型枠を使うと工期はどれくらい短縮できますか?
部位と条件によりますが、脱型・解体・廃材搬出という一連の工程がまるごと不要になるため、その分が直接短縮されます。加えて材料が軽く運搬・揚重が楽になること、狭所で作業スペースの確保が不要になることも効いてきます。具体的な効果は図面と工程を拝見したうえでご提示します。