型枠用語集。現場の言葉を、全部。

Glossary

型枠用語集。現場の言葉を、全部。

現場で飛び交う言葉は、外から見れば暗号に近い。せき板、端太、セパ、はらみ、ジャンカ。これから型枠の世界に入る人、図面の打合せで言葉に迷った人のために、実際に使われている用語を44語まとめた。

Basic

基本の24語。

型枠の仕事を説明するとき、必ず出てくる言葉。まずはここから。

型枠(かたわく)

コンクリートを所定の形に固めるための型。せき板と支保工で構成される。

型枠大工

型枠の施工図・加工・建込み・解体を担う専門職人。躯体の形と精度を決める。

躯体(くたい)

建物の骨格となる構造部分。柱・梁・壁・スラブ。型枠工事はこの躯体をつくる工事。

せき板

コンクリートに直接接する板。この面の出来がそのまま躯体の面になる。

支保工(しほこう)

型枠を支える仮設の支柱・梁。パイプサポートや枠組支保工など。

墨出し

図面上の位置を現場の床や壁に実寸で印す作業。すべての精度の基準。

建込み(たてこみ)

加工した型枠部材を現場で組み立てて建てる作業。

脱型(だっけい)

コンクリート硬化後に型枠を取り外すこと。「バラシ」とも呼ぶ。

存置期間

コンクリート打設後、型枠を外さずに置いておく期間。気温とセメントの種類で決まる。

セパレーター

対向するせき板の間隔(壁厚)を保持する鋼棒。通称「セパ」。

フォームタイ

セパレーターと端太を締め付ける金具。型枠のはらみを止める。

Pコン

セパレーター先端の円錐部品。脱型後に残る丸い凹みは打放しの意匠になる。

端太(ばた)

せき板の裏に回して面を通す横架材。木製のバタ角と鋼製の単管がある。

根がらみ

支保工の足元を水平材でつなぎ、倒れを防ぐ補強。安全上きわめて重要。

はらみ

コンクリートの側圧で型枠が外側に膨らむ現象。締付け不足が原因。

打設(だせつ)

型枠内に生コンクリートを流し込む作業。

打継ぎ

先に打ったコンクリートに後から打ち継ぐ部分。一体性の確保が課題になる。

ジャンカ

コンクリートが充填されず、砂利が露出した状態。豆板とも。締固め不足で生じる。

かぶり厚

鉄筋表面からコンクリート表面までの厚さ。型枠位置がズレると確保できなくなる。

出隅・入隅

壁の外向きの角と内向きの角。通りと直角がもっとも目立つ箇所。

天端(てんば)

部材の上端の高さ。レベルで管理する。

面木(めんぎ)

出隅に入れる三角の部材。角の欠けを防ぎ、線を通す。

拾い出し

図面から必要な材料の種類と数量を読み取り、算出する作業。

段取り

着手前に工程・材料・人員・手順を組み立てること。型枠工事の成否を決める。

Practical

現場でさらに使う20語。

墨の種類、他職との取合い、道具、資格。実務に入ると必要になる言葉を足した。

通り芯

建物の基準となる中心線。図面上の位置を現場で再現するための座標軸になる。

陸墨(ろくずみ)

水平の基準を示す墨。床から一定の高さに出し、天端やレベルの管理に使う。

返り墨

壁や柱の芯から一定距離ずらして出す墨。実際の仕上がり位置が隠れてしまう場合に使う。

側圧

打設したコンクリートが型枠を外へ押す力。打設速度と高さで大きく変わる。

はらみ止め

側圧による型枠の膨らみを抑える補強。端太・フォームタイの配置で効かせる。

バイブレーター

コンクリートに振動を与えて充填させる機械。掛けすぎは材料分離を招く。

のろ

セメントペースト。型枠の隙間から漏れると、コンクリート表面に不良が出る。

目荒らし

打継ぎ面をわざと粗くして、後打ちコンクリートとの付着を高める処理。

養生

打設後のコンクリートを、乾燥や衝撃から守って強度を発現させる期間と処置。

デッキプレート

スラブの型枠を兼ねる波形の鋼板。そのまま残して床の一部になる。

スリーブ

配管を通すために、あらかじめコンクリートに埋めておく筒。打設後には開けられない。

インサート

天井などに後から金物を取り付けるため、打設前に型枠へ仕込む受け金物。

剥離剤

せき板とコンクリートの縁を切る薬剤。塗りムラはコンクリートの肌のムラになる。

型枠支保工の組立て等作業主任者

一定規模以上の支保工作業で選任が必要な資格者。安全管理の責任を負う。

型枠施工技能士

型枠の技能を証明する国家資格。1級・2級がある。

コンベックス

金属製の巻尺。型枠大工が寸法を確認する最も基本的な道具。

下げ振り

糸に錘を下げて垂直を見る道具。原始的だが、今も垂直精度の最終確認はこれで行う。

レベル

水平と高さを測る測量機器。天端や陸墨の管理に使う。

揚重(ようじゅう)

クレーン等で資材を上階へ運び上げること。段取りの中でも渋滞しやすい工程。

逆打ち(さかうち)

上の階から下へ向かって躯体をつくっていく工法。ラス型枠が有効になる場面のひとつ。

Why

言葉を覚えることが、最初の仕事。

型枠の現場で最初に戸惑うのは、体力でも道具でもなく、言葉だ。「バタ持ってこい」と言われて何を持てばいいか分からない。そこで止まる。

だが逆に言えば、言葉さえ入っていれば、最初の一歩は驚くほど速くなる。部材の名前は、その部材の役割とセットで覚えるのが一番早い。セパレーターは間隔を保つもの、フォームタイは締めるもの、と理解していれば、現場で指示を聞いた瞬間に絵が浮かぶ。

この用語集は、そのためにつくった。現場に入る前に読んでおいてほしいし、入ってから分からない言葉が出たときに戻ってきてほしい。

よくある質問

「せき板」と「型枠」は何が違うのですか?

型枠は全体の総称で、せき板はそのうちコンクリートに直接触れる板のことです。型枠は、せき板と、それを支える支保工・端太・セパレーターなどの部材で構成されています。せき板の面の出来が、そのまま躯体の面になります。

「はらみ」とは何ですか?

打設したコンクリートの側圧によって、型枠が外側に膨らんでしまう現象です。締付けが不足していたり、端太の配置が甘かったりすると起こります。はらむと壁厚が設計より大きくなり、表面も波打つため、打設中に発見したらその場で手当てします。

「ジャンカ」とは何ですか?

コンクリートが充填されず、砂利が露出した状態のことです。豆板(まめいた)とも呼びます。締固め不足や型枠の隙間からののろ漏れが原因で生じます。ラス型枠は網目から充填状況が目視できるため、ジャンカを早期に発見しやすいという利点があります。

「かぶり厚」はなぜ重要なのですか?

かぶり厚とは、鉄筋の表面からコンクリート表面までの厚さのことです。これが不足すると鉄筋が外気や水分の影響を受けやすくなり、錆びて建物の寿命を縮めます。型枠の位置が設計からズレると、かぶり厚が確保できなくなるため、型枠の精度は建物の耐久性に直結しています。